俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第МЮ回「2021年4月2日 映画観た アングスト」

先程、アングスト(邦題:不安)という映画を観ましたの。ひとりでみた、というと嘘になるな、傍らでは猫がうろうろしていた。映画は実話をもとにしたものらしく、オーストリアで起きた猟奇殺人事件を題材としている。している、っていうか実話をもとにしたって、実話をほぼそのまま映画にしたものってことですよね。こういう、実話をもとにした映画が存在する、という事はすなはち現実には映画の一部となりうる時間が存在する、ということになるのではなかろうか。なかろうか、ってそんなことはどうでもよいが。

いわゆるところのサイコパスの映画である。と思う。
紹介文には、「公開当時、あまりにも残虐な映像・描写に嘔吐する観客、返金を求める客が続出した問題作」みたいなことが書いてあった。1983年の映画。サイコパスという言葉が人口に膾炙したのがいつ頃からかわからないが、この言葉が日常でよく聞くようになった現代にこの映画を見ても、犯人の心理描写に新鮮味があまり感じられず、あまり興味深いものではなかった。完璧主義はみなベクトルが別の方を向いているだけの違いで、みな異常なのだと思う。

懸念すべきことがひとつだけあって、猫のことである。猫もちらちらとテレビジョンの画面を見ていたため、サイコに触発されてなにかよろしくないものが猫の内部に目覚めなければいいのだが。猫は人間でいうと精神年齢が2歳くらいにあたるらしい。ほんとかよ。とも思うが、仮にこの映画を人間の2歳に見せたとしたら、その後の成長が少し怖い気がする。一個の人間の精神に何が影響しているか、分かったものではないからである。
なんて言ってる自分についてはこんな映画の影響なぞ受けるわけがないね、と思っているからこういうことが言えるのだが、影響がないとは言えない。まあないだろうけど。こういう恐怖・ホラーの免疫がついたのは、人生のどのタイミングだったのだろう。昔はうす暗い水族館に入るのも怖かったが。

内容はちと微妙だったけど、カメラワークがよかったと思う。引きずられる男の後頭部に寄せたまま移動していくシーンや、口元を強調する映し方が印象に残っている。最初の方に執拗に映っていた口唇のシーンは、犯人の性向・性癖がとても効果的ににじみ出ていた。あと、犯人の演技も真に迫るものがあった。なんだか、けっこういいところがあった映画に思えてきたぜ。

 

なぜか、北北西に進路を取れがみたくなったので明日借りてこよう、ね、ハム太郎

 

文責:不動産屋