俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第54回「NO TITLE」

10/6~8のこと

10/6にコロナのワクチンを注入してきた。これは2回目で、2回目を摂取した後は主に発熱、頭痛、倦怠感、人によっては嘔吐や下痢などにも見舞われると聞いていた自分は、これらの症状が現れるのを少し楽しみにしていた。と言うと、胡乱な奴、と思われるかもしれないが、これには言い訳というか訳がある。
若い頃は渋谷でギャルを生業としていた会社の同僚いわく、ワクチン接種に伴う感覚は生理が来ている時の倦怠感に近かった、とのこと。男性の自分には生理はもちろん訪れることはない。したがって、これに伴う倦怠感とやらを身をもって知る機会がない。他人の痛みを知ることではじめて他人に優しくなれる、人間はそういう生き物であると思う。なので、なるべくなら優しい人間になりたいなあと思っていた自分はワクチンを打ってもらうことで女性のいう倦怠感を知ろうと思ったのだった。

それで二度目のワクチンを打ってもらったのが10/6の午前中。午後になってもなんら変調はなかった。翌日に波がくる、ということもワクチンの経験者から聞いていたので、明日来るのかなと思ってその日は寝た。
そして翌日10/7。ちちち、と小鳥が囀るミュージックを聞きながら目覚めた自分はおもむろに熱を計ってみたところ35.8度。倦怠感もない。午後になっても体調は変わらない。ついに何も変化がないままにこの日も過ぎた。
10/8、いわずもがなである。

結局、ワクチンの副反応とやらは自分にはまったく訪れず、あの倦怠感を体感することができなかった。こんなことを言って咎められるかもしれないが、悔しいというか惜しいことをしたとしか思えない。無念である。