俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第60回「クリスマスである」

クリスマスである。世の中は有象無象で賑わっているらしい。素晴らしいことである。

カップルの数が多いほど日本の少子化の杞憂は減るし、有象無象は良い所で食事をするので飲食業界も賑わう。挙げ句の果てにはプレゼントを交換し合う風習もあるため、貴金属業界やその他もろもろ関連業界も賑わうであろう。その上宿泊なんかもしちゃうわけだから旅館業界もいい感じになる。

 

男女の交際というのは非常に金がかかるのだ。しかしそれは非常に良いことなのではないか。昨今、生涯未婚率が男性で25%、女性が16%に及んでいるらしい。

最近日本は貧しいな、と感じることが多くなってきた。物価の上昇に対して賃金が上がっていないため、様々なものが高いな、と感じるからだろう。不況下の物価上昇はスタグフレーションというらしい。なるほど。

この要因はもしかしたら世間の人々が男女交際をしなくなったため、お金を使わず貯金傾向にあり、世の中の金の循環量が減っているからなのではないか。あるいは男女交際をするには金がかかるから仕事がんばろ!みたいな世間の勤労意欲が交際をしないため減少しているな、とも思う。ある種モテるために社会的ステータスを上げる。そのために頑張る、みたいな人が減ってきてる気もする。幸せの定義は人によって違うから、断定的な言い方はしたくないが、男女交際による幸せはあると思っている。その幸せを享受しない人が増えているため、世間全体として不幸になっているのではないか。挙げ句の果てには漂う貧乏感。

日本を取り巻く少子化、経済的問題は人々が多く男女交際を行えば解決するのではあるまいか。そして徐々に日本は不況から脱出するのではあるまいか。そして幸せの総量は増えるのではあるまいか。すると治安も良くなるのではあるまいか。恋をすべきなのだ。恋愛を。

とはいえ、物事の傾向が急激に変化する変曲点をすでに超えてしまっている気もするから、誰にももう止めることは出来ないかもしれない。

 

クリスマスといえば。

私の先輩にいちろー、という人物がある。クリスマスの予定を聞いたところ、世間の有象無象を見ると心が傷つくから家に立て篭もるそうだ。もちろんいちろーは独身で、恋人がいない。

 

痛いほど気持ちは分かる。見せつけられているような、自分には出来ないことをまざまざと見せつけられるのだ。しかし、同時に思う。なぜクリスマスに恋人と過ごすのかい、と。クリスマスには恋人と過ごすものと思い込んでないかい、と。だから傷ついてるのではないかい、と。

まさに私もそう思い込んでいる。クリスマスには恋人と過ごすものだと。世間もそう思い込んでいる人が多いのではあるまいか。

クリスマス、どこいく?何欲しい?何食べたい?みたいな。

かような会話が各恋人間で自然となされていないだろうか。

なぜか。なぜ私は世間はそう思い込んでいるのだろうか。

おそらく、経済的な陰謀という意見もあるが、それはきっかけにしか過ぎず、イベントとして、相手に喜んでもらう機会の一つとして素晴らしいため、単純に楽しんでいる人が多いからであろう。その光景を見る、周りがそうしている、すると自分たちも!となり、そういうもんだと思うのではないかなと思う。

では将来どうなるか。生涯未婚率が急上昇している昨今、このクリスマスというイベントもあまり特別でなくなる可能性がある。独身者がマジョリティになれば風潮は変化する。するとクリスマスは恋人と過ごす、という思い込みから解放された世代が生じだす。クリスマスは特別な日ではなくなる日がやってくるのだ。

したがって、先輩いちろーは、きっと来るその日まで、クリスマスは部屋から出ずに頑張って耐え忍んでほしい。いつか解放される日まで。

 

最後に、思い込みといえば、女性へのプレゼントに対しても私は思い込みがある。それは花を贈ると女性は喜ぶに違いない、というものだ。

結構盲目的に信じて、なんかプレゼントに困った時は花でも買いますか、みたいな気持ちになる。

花は綺麗だし、かわいいし、その刹那性にロマンが詰まっているから、おそらく喜ぶだろうと。しかし果たして本当に女性は花をもらうと嬉しいのだろうか。プロポーズの薔薇は別ね。

 

花が好きな女性に、花を贈るのと訳が違う。あるいは、例えばひまわりが好きな人にひまわりを贈るということでもない。

それらは相手が好きなものを贈っている。

私の思い込みは、どんな花でも、花束をもらう事を女性は好んでいるだろうと思っている。

 

逆にいえば女性も、花をもらったら喜ばなければならない、と思い込んでいる可能性がある。

本当は違うものが欲しかったけど、花束にはちと文句が言えない、なんて思ったことがある人がいるかもしれない。

 

なぜこの思い込みがあるのか。こればっかりは一切説明がつかない。これは伝統なのかもしれない。そのため近くに女性がいる男性諸氏は女性に本心を聞いてみてほしい。花もらったら嬉しいか否か。そしてそれはなぜか。

 

ちなみに女性から男性にプレゼントで花を贈ることってあんまりない気がする。

配偶者あるいは恋人がいる女性諸氏は男性に花を贈ってみてほしい。存外喜ぶのではあるまいか。これは良い名前がつけばある種の流行になりそうだ。

 

私事であるが、大学の頃、演劇の公演が千秋楽を迎えた日にメンバーから花束をもらったことがある。女性から、というわけではないが、これはとても嬉しかった。

そうか、花は気持ちなのかもしれない。モノで表現できない気持ちを、言葉だけでは足りない何かを、花を贈ることで表現しているのか。

そうだとしたらかなり素敵である。

 

 

今日の格言

花は気持ち、世は情け

 

文責おがさわら(大阪、30歳、無職)