俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第〇Т回「2021年3月10日 他人の手のひら」

入浴やシャワーに長いこと時間を割いていると足の裏や手のひらにしわが寄ってくる。それが人間というものだが、この状態をよく「おばあちゃんの手のひらのようだ」と言うのを耳にする。確かに見た目が年寄りのそれのようになるのだが、気になるのはこの手の話で引き合いに出されるのは「おばあちゃん」であり、「おじいちゃん」が登場しないのはいかがなものなのだろうか。この話題でおじいちゃん、じいさん、ジーサン、爺、などを聞いた記憶がない。あくまで自分の記憶、感覚の話で、もしかしたら世間一般としては「おじいちゃん」が登場するものなのかもしれないが。

そういえば、ばあさんやじいさんの手のひらは皺が寄っている、というイメージは自分の中で強固なものになっている。たぶん他の人もそうだろうと思う。しかし思い返してみると、じいさんやばあさんの手のひらを凝視したことがないのではないか、自分には。凝視までいかなくとも、意識してそれを見たことがない。そしてよくよく考えてみると、じいさんやばあさんに限らず、他人の手のひらを気にして見ることがそもそも自分にはなかった。おそらく他の人もそうだろうと思う。易者にでもならない限り、他人の手のひらなど見ないのではないか。僕らはみんな。

 

文責:不動産屋