俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第86回「終戦間近 虫歯との一年戦争」

長い戦いだった。約一年に及ぶ虫歯との戦いが終焉を迎えつつある。

 

私の右奥歯が過去ない痛みに襲われた昨年5月。そこから治療を始め、最後に銀歯的な被せ物をしたら治療完了、という完治まであと一歩の8月、私は歯医者に行くのをやめた。

 

それから歯をちゃんとしようと決心したこの間の5月。久方ぶりの歯医者へ。怒られるかなと思ったら、穏やかに、

久しぶりですね、と一言。

怒らないんだね最近の歯医者の先生は。小さい頃は良く高木先生に怒られてたのに。怒るのは優しさとは良く言ったもんだ。三十路のおっさんに優しくしてもしょうがない。

お久しぶりです、へへ

何という間の抜けた返事なのか。

 

とはいえあとは被せ物をするのみ。もうすぐ終わる。早く被せちゃいな、と思ってた。が、

 

虫歯がありますね、ごっついの。

 

私の右上親知らずは下ではなく横に向かって生えてるひねくれ者で可愛いやつなのだが、そいつがとんでもないことになってるらしい。この歯は昨年このお医者が抜きたがっていた歯で、愛着を持っていた私はそれを拒否した過去がある。よっぽど私の可愛い親知らずを抜きたいらしい。

 

そんなはずないですよ。何の証拠があるんですか。

というと、歯のお医者は金属の棒でグリグリしてきた。右上の親知らずを。

 

もうね、すごい声出ちゃった。とんでもなく痛かったのだ。

 

ね?

 

ね?じゃない。ね、だけど、ね、じゃない。こいつ許さんと涙ながらに思ったね。その場で抜くことが決定した。

 

あとは早い。あっという間に麻酔の注射が打たれ、ペンチでゴリゴリ。痛みは感じないが骨伝導で伝わる歯の悲鳴はとても不快な音がした。

あ、あ、と言ってると10秒ぐらいで抜けた。

 

抜けました。

にっこり笑う先生。抜けた歯を見せてもらうと、井戸みたいに真ん中が溶けてた。ごっつい虫歯だった。

 

こうして私の口内から虫歯が駆逐され、残りの歯の治療もまもなく終わろうとしている。ここで虫歯が及ぼしていた健康被害を紹介しようと思う。

 

・謎の顎痛

良く右側の顎が上も下も痛むことがあった。歯痛っていうより顎が痛い感覚。抜歯した後無くなった。

 

・謎の肌荒れ

顔の右半分に良くニキビのような腫れ物ができ肌が荒れていた。全然治らん、とか思ってたけど、虫歯を抜いた瞬間治り、そういう腫れ物は今の所できていない。調べると虫歯の毒素を肌から排出しようとする体の反応らしい。おそろしや。

 

 

いよいよ私の口内に平和が訪れそうである。残す治療は後一回。しかし三つ子の魂百まで。すぐ蔑ろにしてしまうので、油断大敵である。絶対に歯医者に行く事をここに誓います。

 

あとは、この治療の後も定期検診を受けることにした。苦手なことは誰かの力を借りる必要がある。1人で生きるなんていうのは思い上がりなのだ。

 

健康第一。

 

文責おがさわら(31、大阪、ラリーマン・サ)