俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第71回「アイス+ドカベン÷ねこ ≠ 三国志」

図書館で借りてきた「日本アイスクロニクル」なる本を読んでいた、というか眺めていたイェスタディ。日本における氷菓子の歴史趨勢を年代ごとにまとめている。新旧問わず写真が多く、販売当時の雰囲気が感じられるため、見ているだけで楽しい気持、ハッピーな気持になってきて、いろいろな細かいことがどうでもよくなり、気が大きくなって、結果的に飼い猫に「ドカベン」というあだ名をつけるに至った。


このアイス本を読んでいて自分ははじめて知ったのだが、というのはドカベンの語源である。
ドカベンというと、あの巨体のキャッチャー、ひと昔前の野球漫画の登場人物をまず思い浮かべる。巨体で温和そうな彼には、きゃらきゃらで、ふにふにな、ぽわぽわっとしたネーミングは馴染まない。やはり、男臭い・汗臭い・泥臭いような名前が合っているに違いない、そんなわけで濁音多めで重々しさを醸すような名前がよかろう、そうだ、ドカベンだ。ドカっと現れてべベーンときめる、これや! みたいな経緯、イメージ先行でその名がつき、名前自体が有名になって確立された。そんな感じに思っていたのだ、ドカベンに対して。自分は。
ところがさにあらず、ドカベンにはちゃんと語源があるのであって、土方弁当、を起源としているらしい。土方弁当。白米を詰めた弁当箱に梅干しがひとつ、いわゆる日の丸弁当である。土方弁当(日の丸弁当)は経済的な理由もあるのだろうが、豪華豪奢なお菜はついていない。それでも、とにかく空腹を満たす目的は果たすことができる。大食漢には満足のゆく弁当なのだろう。
ドカベンはなぜ「ドカベン」なのか。それはあの巨体を考えてみてもわかるように、彼は大食漢で、土方弁当を食べていたからだと思われる。自分はドカベンを読んだことがないので詳しいこと正しいことは知らないが、おそらくそういうことなのだろう。

話がアイスと飼い猫からだいぶ逸れたが強引に話を戻すと、アイス本に「ドカベン」というアイスが出てきたのであった。それは弁当ではないものの、サイズ大の握り飯をモチーフとしていて、最中アイスがおにぎり型に形成されている、そんなようなアイスであった。包装にはややコミカルなフォントで「ドカベン」と大書されており、一点の過不足もない感じで、存在感がすさまじい。説明文を読むと、あずきバーの権威、井村屋がかつて販売していた商品であり、土方弁当をモチーフにしたアイスだということが分かる。
そういうわけで自分はドカベンの新たな一面、というか本来の一面を知ったのだった。

 

猫にドカベン、とあだ名をつけたのは、彼女が大食いだからである。

 

今日、オフィースで仕事をしていて、ああ、三国志だなあ、会社というものは。組織というものは。と感じたので、三国志の話をしようと思っていたのだが、図らずもドカベンの話になってしまった。積読みたいに積書がたまってゆく。

文責:不動産屋