俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

第57回 温故知新だね

温故知新なことがあった。湯たんぽを購入したのだ。これがすこぶる良かった。したがって湯たんぽを世間様に再評価していただくべく、良い点を列挙したいと思う。

 

湯たんぽは、健康にいい。

冬の暖房機器といえば、エアコンが覇権を握って久しい。ワンルームとかだと大体エアコン。ただしエアコンつけて寝ると乾燥からか喉がガサつくのである。三十路ともなると喉のガサつきはいただけない。そういうちょっとしたことの治癒能力がだんだんと落ちているからだ。

そこで湯たんぽ。空気を乾燥させない放射熱ってのがいいよね。熱を少しずつ周りに伝播させていく。ヤカンを沸騰させられる石油ストーブやパネルヒーター、こたつなんかの仲間ってことだね。猫のような柔らかい暖かみは身も心も癒してくれる。人の温もりを忘れた独身者はぜひ試してみるべきだろう。猫いらずとなること間違いなしだ。さらに末端冷え性の人には本当におすすめ。ストーブなんかの近くに足を置くと芯まで温まらず、アチってなって、足を遠ざけてはまた近づける、みたいなことをしてしまうだろう。ところが湯たんぽ。足を離せなくなること間違いなしだ。

 

湯たんぽは、経済的。

昨年は冬の暖房にガスファンヒーターを使用した。

私は昨年の11月から現在のアパートメントに住み着き出した。この部屋は一階にあり、またメゾネットタイプというちょっと広い賃貸物件である。エアコンが付いておらず、当初は、暖房器具はいらない、厚着してこの冬乗り切るぞ!と思っていた。初期費用高いしね。しかし、大阪の冬は甘くなかった。日に日に寒くなっていき、12月の暮れの頃、とうとう我慢できなくなった。ていうか部屋の中が外より寒いという稀有な物件であることが明らかになったのだ。土井津仁の家のようであった。このままでは凍死すると、たまらずセカストのようなところで中古の物を購入しに行った。10畳ほどのハイパワータイプが店頭価格で1600円。即座にネットで調べると中古で20000円。その時は、そりゃみんな転売するよね、と眼から鱗が落ちました。買いです。即購入。ただしこれだけでは使えない。ガスホースを別途購入する必要があった。流石に中古はちと怖いなと新品を買うべくホームセンターへ。ヒーターの部屋への配置の自由度的に長めの方が良い。5メートルを購入しようと、お値段3500円。ホースの方が本体より高いってナニ、とやや釈然としないまま即購入。とまぁ初期費用5000円程度とかなり安価に暖房設備を手に入れることができた。そして早速セットして起動させた時の感動は今も忘れないね、私は。あの暖かい空気は命の暖かさだよ。と一転ガスファンヒーターは冬の主人公となり、ほぼ毎日稼働し、私の命のバトンをリレーし続けてくれた。

その代償は大きい。毎月のガス代だ。平均すると毎月15000円。夏の約5倍だ。結構高くない?毎月プレ2が買えちゃう。命の値段としては破格だか、金は命より重い。重くみた私は今年は節約するぞ!と手を出したの。湯たんぽに。初期費用は2000円。あとは毎日のお湯の交換費用だが、2.5リットルを沸騰させると半日暖かい。そのため毎日の5リットルのお湯を沸騰させれば、この寒い冬を乗り切れるはずである。今冬の物語なので、まだ比較できてないが、おそらくガスファンヒーターよりは経済的であろう。別途また報告させていただく。また、12月以降の本格的な寒さに湯たんぽで対抗できるかは全くわからないが、ここも期待させてもらう。どうですか、かなり経済的になる予想が立っており、今からウキウキしている。

 

湯たんぽは、思い出ぽろぽろ。

私は実家で成長していた頃、母が冬の寒い日に湯たんぽを用意してくれていた。寒いからこれを布団に入れなさい、と。幼少期なんかは暖かくていいね、と素直に受け取っていたのだが、反抗期くらいになってからは、寒くないね!へっちゃらだね!となど謎の意地を張り要らないと断りだした。思えば何から何まで気に食わなかったのだろう。母の思いやりをある種恥じらいのように感じていたのだ。やや、思春期ですなあ。そんなこんなで家を出て約12年。今年の冬の暖房に湯たんぽを思いついた時、これらの記憶が蘇ったのだ。エアコンだと喉を痛めて声がガラガラになるよ、と子が寒さで風邪ひかないようにわざわざお湯を沸かし、火傷しないよう厳重に包んでいた。その気持ちがなんだかわかるような気がしてくる。母の思いやりというのはいつだって湯たんぽのように暖かいのだ。

 

 

湯たんぽはかなり良いものであることがお分かりいただけだろうか。正直暖かい状態にするには少し手間がかかるしやけどなんかの恐れもある。が、ボタン一つで享受できるものとは別の深い暖かみがあることは間違い無い。

 

冬が近い。

 

文責おがさわら(30、大阪、無職)