俺はなんばんぼし

釣具屋と不動産屋の

読んで眼前がアクア 夏子の酒

泣ける漫画といえばドラえもんの6巻である、という人生を自分は歩んできたのだが、齢32にして新たに泣ける漫画に出会った。夏子の酒、という酒蔵の話。文庫版で12巻だったと思うが、6回くらい涙が流れたと思う。2巻に1泣の計算だ。端的に言えば日本酒を作る、それだけのストーリーなのだが、なぜか泣けてしまった。確かにこれは泣かせにきてるなという感じの箇所、浅田次郎の小説みたいなシーンがあって、普段のこれまでの自分であれば、絶対に泣くもんかね、と天邪鬼を装って斉藤由貴の卒業式の唄のように泣かずに済ませられたものだった。しかし夏子にはそうしたポーズが通用せず、勝手に涙腺が刺激され頬を湿らす。僕はもしかしたら、疲れているのかもしれない。

スピンオフというか続編の、奈津の蔵、も読んだ。が、こちらは、ほーん、って感じで終わってしまい、眼は乾いたままであった。疲れているのかもしれない、と思ったのは気のせいだったのかもしれない。ドライアイで接眼レンズが装着できぬ、最近の私。

ドライアイには浅田次郎が効くかもしれぬ。悔しいが、ってなぜ悔しさを感じているのか分からないが、浅田次郎は泣けてしまう。うまいからだな、と思っても、うまいなあ、と思って眼の前がアクアな感じになって。